猫話.5  にゃあ、ありがとう

にゃあ

                 にゃあ、8月1日朝4時過ぎ永眠。たぶん7歳の生涯。


月末のある日の事。散歩から戻ったにゃあは、突然ミケのドライフードを食べようとしている。
もう固形物はこの1ヶ月以上口にしていない。口も開かないので食べられないはず・・・でも、試しにスープに缶詰の身も入れてみると食べている!他にも魚・海老など細かく潰した物も食べられるようになった。お水もお風呂場の洗面器まで何度も飲みに行く。
気が付くと、呼吸も落ち着いていて、顔の表情も穏やかだ。暖かい日は外に散歩に行くのが楽しみで、特にお向かいの畑が
お気に入り。完治は望めなくても、こんな風に病気とつきあいながら、のんびり過ごしていけたらと願う毎日だった。

も、7月中頃になって、また呼吸が苦しくなる。一晩中辛く、眠れない夜を過ごす。
夫も私もこの時は「もしかすると・・・」と覚悟する。そのくらいにゃあは苦しそうだった。
何とか呼吸も少し落ち着き、持ち直したように見える。ただ、それ以来缶詰などは食べられなくなる。海老やほたて、まぐろなどのお刺身は喉越しもいいのか手のひらにのせると食べられる。缶詰のスープ・牛乳などもを少しずつ飲んでいた。
身体はこれ以上痩せる事ができないというくらい小さくなっているのに、にゃあ、何て強いんだろう。本当に凄い子だ。

の頃は毎朝、外に行くのがにゃあの日課。暑い日も雨の日もドアが開くのをじーっと座って待っている。
7月31日もとても暑い日で、朝のうちににゃあと外で過ごす。いつもは日向が好きなのに、さすがにこの2.3日はすぐに日陰に
行く。木陰で眠り、お気に入りのお向かいの畑にも行き、やっと外でほたてと牛乳をほんの少し飲んだ。
数日前から急に食べる量は少なくなっていた。
家に入り、布団の上で休んでいるにゃあを撫でていると、私の上に上がってくる。30分位お腹の上で横になっていたけれど、
にゃあを布団に降ろして仕事に出かけた。きっとにゃあは不安だったのかもしれない。
ずっとにゃあの側についてあげれば、と今も悔やまれてならない。

途中少しでもご飯をと思い、自宅に戻る。にゃあは自分のベッドで丸くなって熟睡している。迷ったけれど、起こさずにまた仕事へ。夜になって帰ると、にゃあはまだ同じように眠っている。今まで、ずっとこんなに寝ている事はなかった。ちょっと不安になる。
犬達の散歩を早目に終わらせて、後でゆっくりにゃあのご飯にする事にした。
にゃあは目を覚ましていたけれど、何も口をつけようとしない。抱っこして外の空気を吸いに連れて行ってみた。
でも、全然降りようともせず、元気がない。布団の上に寝かせると、にゃあの様子がおかしい。

元気な方の左目はもう焦点も合わず、瞳孔の反応も鈍い。呼吸は苦しそうではなかったけれど、後で思うと、かなり呼吸も弱く
なっていたのかもしれない。にゃあのからだはもう限界か、ひょっとしたらそれを超えているのではないかと思うくらいだった。
にゃあの生きようとする気力だけで過ごしているようにも見えた。仕事から帰ってきた夫が口にミルクを入れると、少しペロペロと
飲み込む。でも、その後はただ喉に流れているという感じだった。もうこれ以上にゃあに頑張ってとは言えなかった。
にゃあは本当に十分それまで頑張ってきたから。夫と交代しながら側について、ずっとにゃあの身体を撫でてあげる事しか
できなかった。

明け方、にゃあは夫と見守る中、腕の中で息を引きとった。静かに、安らかで・・・今思うとにゃあらしい最期だったと思う。
病気がわかってからもこの約2ヶ月半、頑張って、頑張って生きてきたにゃあ。本当に辛抱強い子だった。
精神的に辛い時期もあったけれど、でも穏やかな時間を過ごす事ができたのもにゃあのおかげだ。
たぶん、この時間がなかったら、私は今もこの先もにゃあの病気や死を受け入れる事は難しかっただろうと思う。

夕方、にゃあとのお別れに行く前に、お店に寄っていく。にゃあの最期の出勤・・・。
この4年間、冬の間を除き、ほとんど毎日一緒に通ってきた。にゃあがいるだけでお店は和やかだった。
人見知りしない穏やかな性格で、初めて会う人にもすりすり甘えてしまう。たくさんの方に抱っこして貰ったり、かわいがって
もらってきたにゃあ。小さな子どもにも人気だった。ずっとずっとにゃあに助けてもらったんだよね。
それもにゃあだからこそできた事だと思う。今も、トントン・・・とにゃあがひょっこり2階から降りてくるような気がする。
「ニャッ、ニャッ」と散歩に行こうと誘いに来るような気がする。まだまだにゃあがいない寂しさと悲しみがこみ上げてくる。
でも、にゃあと一緒に歩んできたお店だから、これからはにゃあの分もしっかり頑張っていかなくては、と思う。
にゃあと出会い、そして一緒に暮らすことができて本当に幸せだった。
にゃあちゃん、今までありがとう。本当に本当にありがとう。これからも、ずっとずっと大好きだよ・・・。

最後に、皆様にはこれまでにゃあの事をかわいがって頂き、またご心配や温かい励ましを頂き、心からお礼申し上げます。
本当にどうもありがとうございました。


                                                           (2004年8月8日 記)




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